緊急メッセージ:「食べ手」から始める、鳴子の米分かち合い救援米プロジェクト

“うばい合えば足らぬ、分け合えばあまる”

2011年3月11日、突如日本を未曽有の大震災が襲いました。
東北地方沿岸部の漁場と穀倉地帯は壊滅的な被害を受け、私たち日本人の「生きるための食」の産地の多くが失われてしまいました。
地震発生直後、「今一番ほしいのはお米と水」と被災者の皆さんの涙ながらの訴えに、同じ日本国内で寒さと飢えに苦しむ人たちが出るという事態に私たちは大きなショックを受けました。

さらに、現在も深刻な事態が続く福島第一原子力発電所事故の収束には、長い時間がかかると指摘する専門家もいます。放射能漏れが止まらない限り、水源、土壌、農作物が放射能に汚染されていきます。

首都圏では、地震発生以来、被災地が欲している非常用の備品や食料の買いだめ、また浄水場から放射性物質が検出されたことを受けて、水を求めるパニックが起きました。
被災地でもない首都圏の地域で、水や食料の奪い合いが起こっていることに情けなさと怒りを禁じ得ません。

地震と津波で全てを失った被災地の皆さん、地震、津波、原発事故で三重に苦しんでおられる福島県の被災地の皆さんは、悲しみや辛さを堪えて懸命に生きていこうとされています。

被災者の皆さんの避難生活とその支援は長期にわたると思われます。この後、食料価格も高騰し始めるかもしれません。奪い合っている場合ではありません。力を合わせて支え合って復興するために、各自が持てるものを分かち合っていかなければなりません。

私が長くお付き合いさせていただいている宮城県大崎市鳴子地区鳴子地区では、2006年春、雪深い山間部でも立派に育つ米「ゆきむすび」をシンボルに、つくり手と食べ手が支え合う食の運動がスタートしました。日本版CSA(地域で支える農業)としても注目を集めている、鳴子の米プロジェクト(以下、米プロ)です。この「いちぐう」サイトでも幾度か紹介してきました。
http://www.city.osaki.miyagi.jp/annai/kome_project/01.html

今回、鳴子地区は宮城県の内陸部のため、幸い震災の被害はそれほどでもありませんでした。
震災から2週間が過ぎ、鳴子地区の、米プロの皆さんに様子を伺うと、「被災地後方支援に動き出したいとの思いはあるものの、燃料不足で移動がままならず、気持ちばかりが募っている」とのことでした。
その時、事務局に届いた1枚のFAXの話を聞いたのです。

「購入したお米は私のところに送らなくて結構です。その分を被災地に寄付します」

FAXの送り主は、鳴子の米「ゆきむすび」を年間で購入(前払い)し、月々小分けで配送を依頼していきていた福岡のAさん(残りの購入分140キログラムを寄付)。

私は頭を殴られたような衝撃を受けました。
同時に、私が、私たちがやるべきことに、気づかせていただきました。

鳴子の米プロは、米のつくり手と食べ手が信頼でつながり、食べること、共に生きるための食=米について考えようという取組みです。
震災で痛感した、命をつなぐための食の大切さ。そして、いざという時に命を守るためのお米があることの安心感。

「お米がスーパーに無くなっても、自分や家族の分のお米の保管庫(米のつくり手の田んぼ)を持っているから大丈夫」

鳴子の米プロが主張してきたのは、米の“つくり手”と“食べ手”が強い信頼関係で結ばれ、互いが支え合うことの意味。
気持ちでつながっている“つくり手”は、いざという時の“食べ手”自身やその家族を守る「命綱」です。
その相互の助け合い・分かち合いの気持ちが、今こそ求められていると感じています。

「まずは私がAさんに倣います」と、私は電話の向こうの米プロ理事のお1人、「山ふところの宿みやま」の板垣オーナーに伝えました。
そして、鳴子の米プロ応援団・お米の「食べ手」から始める、分かち合い救援米寄付を始めたいと提案しました。
翌日、米プロ理事有志の皆さんの会合を開催、米プロ事務局として私の提案にご協力いただけることになり、「食べ手」から始める、鳴子の米分かち合い救援米プロジェクトの実施が決定いたしました。


“私の分をあなたに”分かち合って気持ちを結びませんか

私たち1人1人が気持ちを込めて購入した鳴子の米「ゆきむすび」で、被災地の方々においしいご飯を食べていただきたいと思います。

低アミロース米「ゆきむすび」は冷めてもモチモチ感のあるおいしいお米です。おむすびに向いています。他のお米に少しだけブレンドして炊けば、お米に“張り”が出てさらにおいしくなります。
そんな「ゆきむすび」をもっと温かくして被災地の皆さんにお届けしたい。

「事務局に在庫があるならば、そのまま救援米として寄付すればいいではないか」
と言われるかもしれません。

でも、私たち「食べ手」は「つくり手」の皆さんに、来年も安心して私たちの命を守るためにお米をつくり続けていただきたい。
そのためには、私たち「食べ手」がきちんと「つくり手」を支える必要があります。

●ご購入は1口5千円(「ゆきむすび」白米10キロ相当)、限定200口(在庫がなくなり次第終了)です。
●購入していただく「ゆきむすび」は、2010年度産米です。
●救援米「ゆきむすび」は、被災地への物資の輸送や現地での仕分けの混乱などがひと段落した時点で、米プロ事務局が責任を持って「届け先」を決め、配送します。
●あるいは、今後、鳴子温泉が被災者の皆さんの一時滞在等で開放された場合、そこでの食事に救援米「ゆきむすび」を供します。


賛同される方はぜひご一緒に救援米「ゆきむすび」の購入にご協力をお願いいたします!
あなたの温かい気持ちを、鳴子の山間部のつくり手たちが丹精込めた「ゆきむすび」に乗せて、被災者の皆さんに届けませんか。

「ゆきむすび」救援米寄付振込先
仙台銀行 鳴子支店 (普通)2464541
特定非営利活動法人 鳴子の米プロジェクト理事長 上野健夫
(トクテイヒエイリカツドウホウジン ナルコノコメプロジェクトリジチョウ ウエノタテオ)

※購入金額をお振り込みいただきました方は、大変お手数ですが、米プロ事務局から救援米「ゆきむすび」の届け先等の情報をお知らせするために、下記メールアドレスまたはFAXにてご連絡先(お名前・ご住所)をお送りいただければ幸いです。
Email:komepro181@yahoo.co.jp
FAX: 050-3338-7295

この運動が、鳴子の米プロだけでなく、各地のお米の「つくり手」と「食べ手」の間で、被災者の皆さんの命を守る、互いが気持ちを結び合う運動となって広がっていくことを心より願っています。

鳴子の米プロジェクト「食べ手」代表
地域と人のドキュメンタリーサイト【いちぐう】編集長
永田麻美