2008年12月 3日

第2回 ロンドンで日本食が増殖中!?

Cittie of Yorke

お元気でしょうか。ロンドンの滝沢です。
前回コラム掲載時からの状況の変化をお伝えすると、こちらではサマータイムが終わり時計の針が1時間戻りましたが、それと同時にめっきり寒くなりました。例年はそれほど雪は降らないようですが、これまでもう2回も雪が降っています。また日が極端に短くなり16時頃には大分暗くなるため、少し残業しただけでもメチャメチャ働いた気分になります。心なしか昼からパブで飲んでいる人の数も増えてきたようです。こうした環境のため英国人は日照に飢えており、周りで聞く年末のバケーション先の一番人気は、なんとエジプトとのこと。しかし我が家は、末の子供がまだ生後5ヶ月のため、今年はおとなしく英国近辺(EU内)でゆっくり過ごす予定です。
また、円高ポンド安も急速に進んでいます。今年7月に来た当初は、1ポンド200円を越えていましたが、現在は140円台にまで落ち込んでいます。円でもらうお給料は手取りが上がり嬉しい反面、本来の使命である日本からの農産物等の輸出促進には大きな阻害要因となっており、大変複雑な心境です。

さて2回目の今回は、少しばかりロンドンの日本食事情を。
英国では日本食ブームが続いており、日本食レストランの数は現在450強とも言われています。日本食の人気については、実際に街の様子を見ると来る前に想像していた以上でした。テイク・アウェイ(英国ではテイク・アウトとは言わない)形式のチェーン店も多く、サンドウィッチなどに交じり日本食が売られ、昼時にはビジネスマン、OL達が寿司弁当を片手に行列を成しているのがよく見られます。まあ味についてはピンキリですね。日本食レストランでは、多くの英国人が箸を上手に使って日本食を食べている光景も見ることもできます。
しかし、これらの店の多くはノンジャパニーズの経営によるものです。増加しているテイク・アウェイ店(itsu、EAT、WASABI、PRET A MANGER、Japanese Canteenなどなど)もそうですし、ザガットで全ジャンル総合の1位を獲得しているジャパニーズレストランWAGAMAMA(写真下)もそうです。

WAGAMAMA_tennai.JPG WAGAMAMAはメニューこそラーメン、焼きウドンなどとありますが、日本料理というよりはもうオリエンタル料理です(ロンドンにはおいしいラーメン屋さんがほとんどなく、ラーメン愛好家を自認していた筆者にはかなりツライところ、、、)。食材についても殆ど日本の農産物等は使われていないと思われます。こうしたお店はイメージ戦略が上手く、日本食はヘルシーでオシャレであるというイメージを作り上げてくれており、そういう意味では一定の貢献はしてくれているとも言えます。
その一方で、本格的な日本料理を提供している店も少なくありません。例えばミシュランで星を1つ獲得しているUMUは、日本料理といえば寿司か鉄板焼きという中で、懐石というスタイルや日本産の食材にこだわり、何とダシをとるための水までも日本から空輸しています(予断ですが、英国人映画監督ガイ・リッチーと結婚してロンドンに住んでいたマドンナもUMUにはよく来ていたそうで、そのツテで何か日本食PRイベントの際には彼女にも出演をお願いしようと思っていましたが、先日離婚してしまったため実現は困難になりました)。こうした店が英国の日本食レストランを牽引してくれれば、より深い日本文化への理解も進み、日本食材の良さ、本当の意味での日本食の普及に繋がると考えています。
こうした本当の意味での日本食を普及するため、色々とアイデアを考えているところです。たとえば、英国の学校での日本型食育活動、パブでの日本食の提供イベント、大相撲ロンドン公演にあわせた日本食PRイベントなどなど。皆様からも面白いアイデアがあれば是非お待ちしております(←本サイトのお問い合わせメールへ情報をお寄せください、ぜひ!by 編集長)。

シティ・オブ・ヨーク.JPG 近い将来、英国の至るところのパブで多くの英国人たちが、日本酒、焼酎を呑み、枝豆や天ぷら、海苔巻きなどのおつまみをツマみながら、「ヤッパリ冬はオデンとアツカンがイチバンダヨ」とか、「チェルシーもイイけど浦和レッズもイイネ」とか、「ジャッキーチェンは日本人ジャナイヨ」などと日本について熱く語っている姿を見ることができたら、それは素敵な光景だと思いませんか?
それでは、今宵はこの辺で。


cityofny_02.JPG 【本日のパブ】(写真上・左)Cittie of Yorke;地下鉄Holborn駅とChancery Lane駅の中間(我がオフィス近く)。1430年頃からの深い歴史があるパブ(現在の建物は1920年から)。チューダー王朝風の古く趣がある内装が特徴。たまに観光の団体客も来る。ビールの値段はロンドンにありながら安い(Yorke価格が売り)。ランチもよい。